疑義照会を怠ると、あなたも賠償責任を負います。

疑義照会とは、薬剤師が処方箋の内容に疑わしい点を見つけた際、発行した医師に問い合わせて確認する業務のことです。
これは単なる社内ルールではありません。
薬剤師法第24条という国の法律で明確に定められた義務です疑義照会の具体的な定義と法的根拠をわかりやすく解説しています。
条文には「処方せん中に疑わしい点がある場合は、発行した医師等に問い合わせて確かめることができるまで調剤してはならない」と書かれています。
つまり、確認が取れない限り調剤自体ができないということです。
薬剤名の誤り、用量・用法の不備、副作用やアレルギーの疑い、薬の重複、相互作用など、チェック項目は多岐にわたります。
これらすべてを薬剤師が処方箋受付の段階で細かく確認しているわけです。
「ただの確認業務」と軽く見られがちですが、実際は患者の生命に直結する最終防衛線と言えます。
日本医療機能評価機構が公表した2023年の薬局ヒヤリ・ハット事例集計によると、疑義照会関連の事例が全体の83.2%を占め、過去最大の割合となりました薬局ヒヤリハットにおける疑義照会関連の割合と最新の集計データを紹介しています。
これは非常に高い数字です。
10件のヒヤリハット報告のうち8件以上が疑義照会に関するものという計算になります。
野球場のスタンドで例えるなら、観客のほぼ全員が疑義照会関連の話題を持っているようなイメージです。
2024年上半期は82.7%とわずかに下がったものの、依然として突出した割合を維持しています。
疑義照会関連は頭打ちか、とも言われますが、まだ改善の余地は大きいということですね。
背景には、処方箋の記載ミスや患者情報の確認不足など、日常的な業務の中で見落としが起きやすい構造があります。
システムに処方内容を入力する前後で薬剤師によるダブルチェックの仕組みを取り入れている薬局も増えています。
「疑義があっても医師に確認しづらいから、そのまま調剤してしまう」という行動は、実はかなり危険です。
過去の判例では、明らかな過量処方を疑義照会せずに調剤した結果、患者に健康被害が生じ、薬剤師の賠償責任が認められたケースがあります薬剤師の疑義照会義務が認められた裁判例の詳細な解説が読めます。
千葉地裁の新生児過量処方の事案や、東京地裁のベナンバックス過量投与の事案が代表例として知られています。
さらに、大量の向精神薬を疑義照会せず調剤したことを理由に、厚生労働省が薬剤師に業務停止などの行政処分を下した事例も公表されています。
行政処分の考え方は厚生労働省の通知で定期的に更新されているので、最新情報を確認しておくと安心です。
つまり、疑義照会を省略する行為は民事責任と行政処分の両方につながるリスクを持っているということです。
厳しいところですね。
こうしたリスクを避けるには、疑わしい処方内容をその都度メモに残し、確認履歴として記録しておく習慣が役立ちます。
検索上位の記事ではあまり触れられていませんが、疑義照会の対応方法は薬局と病院内薬剤部で微妙に異なります。
薬局の場合、電話やFAXで処方元の医師に直接問い合わせることが一般的です。
一方、病院内薬剤部では電子カルテ上で疑義照会の記録を残し、医師がその場で修正指示を出せる仕組みが整っている施設が増えています。
薬局と病院、それぞれの環境で照会のスピード感が変わってきます。
これは業務効率にも直結する部分です。
FAXでの照会は返信待ちに時間がかかることが多く、患者の待ち時間が延びる原因になりがちです。
電話照会なら即時に確認できる反面、医師が診察中で対応できないケースもあります。
疑義照会マニュアルをテンプレート化しておくことで、伝達漏れを防ぎやすくなります疑義照会の対応フローとテンプレートの具体例が紹介されています。
医院側と薬局側であらかじめ照会ルールを共有しておくことも、待ち時間短縮のポイントになります。
疑義照会を行った際は、誰に、いつ、どんな内容を確認したかを記録に残すことが原則です。
これを怠ると、後から「本当に確認したのか」を証明できなくなります。
過去の裁判例でも、照会記録の有無が薬剤師の過失判断に影響したケースがあります。
記録は電子薬歴システムに残すのが基本です。
紙のメモだけで済ませていると、システム障害時に照会履歴が失われるリスクもあります。
クラウド型の薬歴管理サービスを使えば、照会内容と医師からの回答をセットで保存できるので安心です。
日々の業務の中で、記録を残す一手間を惜しまないことが、後々の大きなトラブル回避につながります。
## 対応できない理由
## 代わりにご提案できること