先発品のアイファガンを漫然と後発品へ切り替えると、患者が不利益を受ける場面があります。

アイファガン点眼液0.1%(一般名:ブリモニジン酒石酸塩)は千寿製薬が販売する先発品で、2012年に日本で承認された緑内障・高眼圧症治療薬です 。製造元は米国アラガン社で、世界的に使用実績のある薬剤です 。
参考)医療用医薬品 : アイファガン (アイファガン点眼液0.1%…
適応は「他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合」と限定されており、第一選択薬ではなく追加・代替薬としての位置づけです 。これを知らずに安易に第一選択で処方するのは適応外となる可能性があります。要注意です。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2012/P201200009/380086000_22400AMX00040000_H100_2.pdf
薬価は先発品が1mL当たり268.9円で、後発品の91.4円と比べて約3倍の差があります 。5mLボトル換算では先発品が1,344円、後発品が457円であり、長期投与ではこのコスト差が患者負担に直結します。つまり薬価を把握しておくことが原則です。
具体的には、眼の毛様体突起にあるα2A受容体を選択的に刺激することで、まず房水産生が抑えられます 。さらに、前房からぶどう膜強膜流出路という「裏道」を通って房水が排出される経路も活性化されます。これは使えそうな情報ですね。
眼圧下降効果に加え、ブリモニジンには視神経保護作用(ニューロプロテクション)の可能性が注目されています 。これは緑内障治療薬として極めてユニークな特性です。意外ですね。
東北大学大学院での研究では、網膜ミュラー細胞を通じたブリモニジンによる神経保護効果が検討されており、神経栄養因子の発現変化や脳のglymphatic systemに相当する眼内清掃機構との関連が研究されています 。これはまだエビデンスが確立段階ですが、将来の治療戦略を大きく変える可能性があります。
視神経保護作用のエビデンスはβ遮断薬や PG関連薬の眼圧下降療法ほど確立はされていませんが、いくつかの基礎・臨床研究で有望な成果が報告されています 。眼圧が正常範囲でも視野狭窄が進行する「正常眼圧緑内障」の患者では、このニューロプロテクティブな作用に期待して処方を検討する医師も存在します。視野進行が懸念される患者には追加情報を収集することが条件です。
参考)abs/10.11477/mf.1410214555">https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410214555
参考文献:α2受容体刺激薬と神経保護効果の関係について解説(医書.jp)
全身性の副作用も注意が必要です。特に、めまい・頭痛・傾眠・口内乾燥・低血圧などが報告されています 。厳しいところですね。
参考)アイファガン点眼液0.1%の効能・副作用|ケアネット医療用医…
最も重要な禁忌は2歳未満(低出生体重児・新生児・乳児・2歳未満幼児)への投与禁止です 。この年齢層では全身吸収によりα2受容体を介した傾眠・徐脈・呼吸抑制などが25〜83%の高頻度で報告されています 。小児科外来や混合診療施設での取り違えに注意が必要です。2歳未満は必須の禁忌確認項目です。
| 項目 | 先発品(アイファガン) | 後発品(例:日点・NIT等) |
|---|---|---|
| 販売会社 | 千寿製薬 | ロートニッテン・東亜薬品・参天アイケア等 |
| 薬価(1mL) | 268.9円 | 91.4円(日点・NIT・わかもと等) |
| 有効成分・濃度 | ブリモニジン酒石酸塩 0.1% | 同一(1mL中1mg) |
| 添加剤 | Purite(防腐剤) | 日点は添加剤が同一処方 |
| 生物学的同等性 | 基準品 | 日点は同等とみなされた |
| 市場投入時期 | 2012年 | 2021年6月18日(5社同時) |
後発品への切り替えは薬剤経済的に合理的ですが、切り替えの際にはいくつかの実務上の確認が必要です。後発品は生物学的に同等とみなされていますが、個々の添加剤や防腐剤の組成が先発品と完全に同一とは限りません 。
参考)https://www.rohto-nitten.co.jp/upload/product/102/hikaku_brimonidinetartrate01_202504.pdf
ロートニッテンの「日点」は先発品(アイファガン)の分析結果に基づき、添加剤の種類および含量が同一となるよう処方設計されており、pH・粘度・浸透圧などが近似しています 。これなら問題ありません。ただし、全ての後発品メーカーがこの対応をしているわけではないため、アレルギー歴のある患者への切り替えでは添付文書の添加剤欄を確認することが大切です。
後発品発売は2021年6月18日で、発売当初は5社が一斉に市場参入しました 。発売当時の後発品価格は1mL 185.2円でしたが、その後の薬価改定で現在は91.4円まで下がっています 。直近の薬価情報の確認が原則です。
参考)https://ameblo.jp/eye6971/entry-12683761532.html
参考情報:アイファガン点眼液の効果・副作用を詳しく解説した医師監修ページ
アイファガン点眼液の効果と副作用(医師監修・うちからクリニック)
ブリモニジン酒石酸塩を含む配合剤として、アイラミド配合懸濁性点眼液(ブリモニジン+ブリンゾラミド、千寿製薬)とアイベータ配合点眼液(ブリモニジン+チモロール)が存在します 。これら配合剤は「他の緑内障治療薬が効果不十分な場合」に使用できる点が先発品単剤と異なります 。
参考)アイラミド配合懸濁性点眼液の効能・副作用|ケアネット医療用医…
アイラミドは炭酸脱水酵素阻害薬であるブリンゾラミドとの配合により、β遮断薬が使えない喘息患者や心疾患患者への選択肢として有用です。結論は患者背景に合わせた選択です。アイベータはβ遮断薬との配合のため、点眼本数削減によるアドヒアランス向上が期待できます 。
参考)アイベータ配合点眼液(ブリモニジン/チモロール)の作用機序【…
医療従事者として重要なのは、ブリモニジン単剤の先発品(アイファガン)は「効果不十分又は使用できない場合」という限定適応であるのに対し、配合剤は「効果不十分な場合」と条件が若干異なる点です 。適応条件の違いを把握しておけば処方の根拠が明確になり、査定リスクを回避できます。これは使えそうです。
参考)アイファガン点眼液 (ブリモニジン酒石酸塩) 千寿=武田 […
参考情報:アイラミド配合懸濁性点眼液の詳細な効能・副作用情報(ケアネット)
参考情報:J-STAGEに掲載されたブリモニジン酒石酸塩の薬理学的特性と臨床効果の学術論文
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