
医薬品医療機器等法違反の中でも、新聞で特に取り上げられやすいのが健康食品やサプリメント、化粧品などに関する虚偽・誇大広告です。薬機法66条1項違反に対しては課徴金納付命令が発動されることがあり、「知らなかった」では済まされないと強調した解説が多く見られます。
参考)薬機法違反とは?知らなかったでは済まされない!違反時の罰則と…
新聞や専門紙では、「がんが治る」「新型コロナに効く」「肝臓疾患を予防する」など、医薬品的な効能効果をうたった広告表示が摘発された事例が繰り返し報じられています。 これらは実際には医薬品として承認されていない製品であるにもかかわらず、医薬品のような表現を用いたことが違反の根拠となっています。
参考)薬機法(医薬品医療機器等法)違反の事例集10件と罰則
健康産業流通新聞などの専門紙は、ここ半年で新型コロナ関連の薬機法違反摘発が例年より増加していることを指摘し、フリマサイト出品にまで監視対象が広がっている可能性を示唆しています。 こうした「媒体の広がり」は、医院・クリニックが自院サイトだけでなくSNSや職員個人の発信まで含めてリスクを管理する必要があることを示しており、医療従事者にとっても看過できないポイントです。
医療機関のウェブサイト運営や患者向けパンフレット作成に関わる医療従事者は、規制の対象が「広告業者」だけでなく、製造販売業者や医療機関自身に及びうることを念頭に置く必要があります。 実務上は、院内で広告チェック体制を整備し、薬機法に詳しい担当者のレビューを必須とすることが、新聞に名前が出るような事態を未然に防ぐ第一歩になります。
健康産業や広告実務における薬機法違反の典型事例と課徴金の基本的な考え方を解説した記事です。
薬機法違反とは?知らなかったでは済まされない!違反時の対処
医薬品医療機器等法違反のうち、新聞で医療従事者の目を引きやすいのが、未承認医薬品や医療機器の輸入・販売事案です。厚生労働省が大阪府警察への告発を行ったセイルインターナショナル株式会社の事案では、国内無承認医療機器の輸入に際し医師免許証の写しを無断利用し、個人輸入を装った報告書を作成したうえで薬監証明を取得していたことが問題となりました。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000216900.pdf
同社は、こうして輸入したサーマクールやトリートメントチップなどを、必要な許可等を取得せずに自社で受領・保管し、複数の国内医療機関に繰り返し販売・貸与していたとされています。 さらに驚くべき点として、トリートメントチップ中古品の販売や、メーカーが設定した使用回数制限を解除する改造ツールの販売まで行っていたことが告発状で明らかにされています。
新聞記事では「無承認医療機器の販売」「医師免許証の不正利用」といったキーワードで要約されることが多いものの、原文を見ると有印私文書偽造・同行使や詐欺など刑法犯を伴う複合的な違反構造を持つことが分かります。 医療従事者にとって重要なのは、「安く入るから」「便利だから」といった理由でこうした業者を利用すると、自院も薬機法違反の連鎖の一部になりうるという点です。
この種の事案は、医療機関側が「よく分からないまま利用した」結果として巻き込まれるケースもありうるため、購買・導入プロセスに薬機法の観点を組み込むことがコンプライアンス上不可欠です。 また、学会発表や学会誌広告において未承認機器を扱う場合も、表現の仕方によっては薬機法適用の対象になる可能性があるため、専門部署と連携したチェック体制が求められます。
厚生労働省が公表した、未承認医療機器の輸入・販売に関する告発状全文です。
医薬品医療機器等法及び刑法違反による告発について(セイルインターナショナル事案)
医薬品医療機器等法違反は広告や販売だけでなく、製造販売業者の安全管理にも及びます。セルジーン株式会社に対する行政処分では、レブラミドなど血液がん治療薬に関する4,573症例の副作用報告が定められた期限内に行われておらず、医薬品医療機器等法第68条の10第1項等に基づく副作用報告義務違反と認定されています。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000216956.pdf
最長約6年に及ぶ報告遅延の多くは、原因が特定できない海外の死亡事例であり、同社はそれらが報告対象に含まれることを社内として認識していなかったと説明しています。 新聞記事では「副作用報告義務違反」「業務改善命令」といった見出しで報じられますが、原文に目を通すと、第三者専門家の意見を活用した安全性情報の取扱い体制の見直しや、社内教育の定期的実施、理解度確認まで求められていることが分かります。
さらに、日本メドトロニック株式会社のインスリンポンプ注入セットに関する外国症例報告遅延事案でも、業務改善命令が出されており、当該製品の有効性・安全性への影響は小さいとされる一方で、情報管理体制の不備は厳しく指摘されています。 こうしたニュースは、製造販売業者だけでなく、医療機関側の副作用・不具合情報の収集・連携体制を振り返る材料にもなります。
参考)医薬品医療機器等法に基づく行政処分を行いました|厚生労働省
医薬品医療機器等法違反としての副作用報告義務違反は、医療機関の診療行為そのものが違反となるわけではないものの、企業側の安全性評価に影響し、結果的に添付文書改訂や安全対策の遅れを通じて臨床現場にも波及する可能性があります。 医療従事者としては、新聞記事を見た際に「自院からの情報提供が安全性評価にどのように寄与しているのか」を意識し、必要に応じて企業やPMDAへの連絡フローを再確認しておくことが望ましいでしょう。
厚生労働省が公表した、副作用報告義務違反に対する業務改善命令の詳細です。
セルジーン株式会社に対する行政処分について
新聞や業界メディアでは、いわゆる「健康食品業者」だけでなく、製薬企業や医療機器メーカー、大手通販会社、さらには医療機関自身の薬機法違反事例も取り上げられています。 有名・大手企業であっても、薬機法違反により行政処分や課徴金命令を受ける事例があり、コンプライアンスの厳格さが求められていることが分かります。
参考)有名・大手企業の薬機法(医薬品医療機器等法)違反事例
RegBaseの行政処分一覧では、複数省庁が公表した医薬品関連企業の違反事例が時系列で整理されており、広告違反だけでなく、製造管理・品質管理、GMP違反、副作用報告義務違反など、多様な薬機法違反が網羅されています。 新聞記事の多くは単一事案をスポットで扱いますが、このような一覧を併せて確認することで、自施設に関連しうるリスク領域を俯瞰しやすくなります。
医療機関にとって意外な点として、「医薬品・医療機器に関する事業以外の業種でも薬事法(薬機法)違反が見られる」と指摘されており、エステ・美容サロン、スポーツジム、通信販売などもニュースの対象になっています。 これは、クリニックが連携する外部サービス事業者の広告や提供内容が、自院のイメージ・信用に影響しうることを意味しており、連携時のコンプライアンスチェックの重要性を裏付けるものです。
医薬品医療機器等法違反は、医療機関の診療だけでなく、広報・マーケティング、共同研究、タイアップ企画など、多様な場面で関係しうるため、新聞報道を契機に自施設の関係部署を巻き込んだ横断的なレビューを行う価値があります。 とくに医療従事者が広報やSNS運用を兼務するケースでは、臨床判断と広告表現の境界を意識し、専門家のレビューを組み込むことでリスクを下げることができます。
薬機法違反事例を企業規模別・違反類型別にまとめた解説記事です。
有名・大手企業の薬機法(医薬品医療機器等法)違反事例
医薬品医療機器等法違反に関する新聞報道は、しばしば「不祥事ニュース」として消費されがちですが、医療従事者にとっては自施設のリスクを点検する絶好の教材になり得ます。 ここでは、医療従事者向けに、薬機法違反ニュースを見たときに意識したい独自視点のチェックポイントをまとめます。
まず、記事を読んだ際に次の3点を確認すると、実務への落とし込みがしやすくなります。
次に、それらを自施設・自部門の業務に照らして、「同じ構造のリスクがないか」を検討します。例えば、虚偽・誇大広告事案を見たときには、自院サイトの表現やパンフレットに医薬品的効能効果を謳うような表現が紛れ込んでいないか、チェックリストに沿って確認することができます。 未承認医療機器の輸入事案を見たときには、導入機器の承認状況と輸入経路、保守・改造の実態を棚卸しし、必要に応じてメーカーや行政に確認を行う契機とすることができます。
さらに、副作用報告義務違反のニュースは、「企業側の不備」として終わらせるのではなく、自院の有害事象報告フローの見直しに活かすことが重要です。例えば、次のような簡易チェックリストを運用することで、薬機法コンプライアンスの底上げにつながります。
このように、医薬品医療機器等法違反ニュースは、医療従事者の実務に直結するコンプライアンス教材として活用しうるため、「新聞で見たから終わり」ではなく、「自施設にどう引き寄せるか」を意識しながら読むことが重要です。 医療安全・リスクマネジメント委員会などで定期的に最近の薬機法違反事例を共有し、具体的な改善アクションにつなげることが、将来の違反や不祥事を予防する一助となるでしょう。
薬機法違反の罰則や違反事例を体系的にまとめた資料で、コンプライアンス教育に活用できます。
医薬品医療機器等法の違反・逮捕事例45個と罰則
医薬品医療機器等法違反に関する新聞や行政公表資料を、院内教育・コンプライアンス体制の改善にどう組み込むか、あなたの施設ではどの部署が主導するのが現実的でしょうか?
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