
電気用品安全法は、「どのような電気製品が規制の対象になるか」を施行令別表第一・第二で具体的な品目として列挙するポジティブリスト方式を採用しています。
参考)https://www.jet.or.jp/common/data/new/gaiyou_text_2011.pdf
このリストには、特定電気用品(政令で定める115〜116品目前後)と特定以外の電気用品(約339〜341品目)が含まれ、合計約450品目が電気用品安全法 対象として位置づけられています。
参考)電気用品安全法令・解釈・規定等 - 電気用品安全法(METI…
特定電気用品は感電・火災リスクが高いとされる品目で、直流電源装置(ACアダプター)、マッサージ器、小型変圧器などが代表例であり、厳格な適合性検査と菱形PSEマーク表示が求められます。
一方、特定以外の電気用品には電気スタンド、電気香炉、家庭用冷蔵庫、自動洗浄乾燥式便器など、病院設備としてもあり得る製品が多数含まれ、丸形PSEマークによる表示義務があります。
医療機器そのものは医薬品医療機器等法(薬機法)による規制が中心ですが、電源装置や周辺機器が電気用品安全法 対象に該当するケースは少なくなく、院内設備の安全性を考えるうえで両法の重なりを理解しておくことが重要です。
実務上問題になるのは「これは電気用品安全法 対象製品なのか?」という判断であり、経済産業省は対象・非対象の解釈事例を公表して、事業者が迷いやすい製品を具体例で示しています。
参考)対象・非対象の解釈事例 - 電気用品安全法(METI/経済産…
判断の際には、定格電圧・周波数・消費電力・用途・設置形態などが重要な要素となり、例えば直流電源装置なら定格電圧100V以上300V以下か、周波数が50Hzまたは60Hzか、といった条件で対象範囲が限定されます。
医療機関でも使用されることがあるリチウムイオン蓄電池やLEDランプは、近年事故情報の蓄積や普及の拡大を背景として電気用品安全法 対象範囲が拡大された経緯があり、「以前は対象外だったが現在は対象」という製品も存在します。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/hourei/seirei/110706_presentation.pdf
経済産業省の対象・非対象解釈例一覧には、コンセントタップ、延長コード、USB電源装置、モバイルバッテリーなどの事例も含まれており、「医療機器付属品なのか一般電気用品なのか」で区別が悩ましい場面を想定した記載も見られます。
参考)対象非対象解釈例一覧(種類別) - 電気用品安全法(METI…
病院内で新規機器や周辺機器を導入する際は、メーカーの説明だけに頼らず、このような公表資料を確認しつつ、安全管理部門や臨床工学技士が「グレーゾーン製品」をレビューする仕組みを作ることがリスク低減につながります。
電気用品安全法の対象・非対象解釈事例(判断が難しい製品の例一覧)の詳細説明に役立つ参考リンク:
対象・非対象の解釈事例|経済産業省
医療機関は医療機器だけでなく、多数の一般電気用品を「病院設備」として抱えており、その一部が電気用品安全法 対象製品に該当します。
参考)電気用品安全法(PSE)|法律に基づく検査・認証|一般財団法…
例えば、院内の照明設備では電気スタンドやLED電灯器具が対象品目に含まれ、LEDランプは対象範囲拡大により新たに電気用品安全法 対象になった背景があります。
診察室やナースステーションの電源周りでは、合成樹脂系絶縁電線類、金属製電線管類、その附属品、延長コード・タップ類などが対象となり、適切なPSE表示がある製品を使用することが火災・感電事故防止につながります。
最近では、院内で使用される携帯発電機や非常用電源装置、さらにはリチウムイオン蓄電池を利用したバックアップ電源システムも電気用品安全法 対象になっており、災害時医療を意識した設備更新では、この法規制を踏まえた機種選定が不可欠です。
また、電気マッサージ器やフットマッサージャー、自動洗浄乾燥式便器など、患者サービスや職員の健康管理のために導入される機器にも特定電気用品が含まれるため、医療機器のカタログだけでなく、一般家電製品の仕様書にも電気用品安全法 対象かどうかを確認する視点が求められます。
電気用品安全法の概要と対象品目区分、特定電気用品の例などを解説している技術資料として参考になるリンク:
電気用品安全法の概要|一般財団法人電気安全環境研究所(JET)
電気用品安全法 対象範囲は固定されたものではなく、事故情報の分析結果や市場の変化を踏まえて、リチウムイオン蓄電池やLEDランプなど新たな品目が追加されてきました。
経済産業省や製品評価技術基盤機構(NITE)は、電気用品に関する火災・感電事故情報を継続的に収集・公表しており、その中には病院・診療所で発生した事例も含まれているため、医療機関はこれらの情報を安全対策に積極的に活用すべきです。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/file/PSE_gaiyo.pdf
電気用品安全法 対象拡大の背景資料では、リチウムイオン蓄電池の過熱・発火事故、LED照明器具の接触不良や誤配線による事故などが取り上げられており、「医療機器とは直接関係しない」と見なされがちな設備でも、患者安全に直結するリスクがあることが示されています。
院内のヒヤリハット報告システムに、電気製品の異常発熱・焦げ臭・異音・表示不備などを細かく分類して登録できるようにしておけば、電気用品安全法 対象製品の選定や更新時に「どのカテゴリの製品でトラブルが多いか」を統計的に把握することが可能になります。これは医療安全と設備管理をつなぐ独自の取り組みとして意外に行われていない領域です。
さらに、事故情報と院内設備台帳を突き合わせることで、「既に対象範囲拡大が行われた品目を古い仕様のまま使い続けていないか」「リチウムイオン蓄電池を搭載した機器の保守ルールが十分か」といった点を定期的に棚卸しでき、医療機関独自のリスクプロファイルを作る一助になります。
電気用品安全法の概要や事業者の義務、事故未然防止の観点からの解説がまとまっている資料:
電気用品安全法の概要や義務について|経済産業省
医療機関の設備・機器導入プロセスに電気用品安全法 対象確認を組み込むことで、現場の負担を大きく増やさずに安全レベルを底上げすることができます。ここでは検索上位記事にはあまり見られない、院内運用に特化した視点を整理します。
第一に、購買部門・医療機器管理部門・情報システム部門間で「電気用品安全法 対象かどうかをチェックする責任の所在」を明確にしておくことが重要です。医療機器は臨床工学技士、IT機器は情報システム部門、一般設備は施設管理部門と担当が分かれがちですが、電源装置や蓄電池、LED照明などはどの部門にもまたがるため、横断的なチェックポイントを設ける工夫が求められます。
第二に、製品選定時のチェックリストに「PSEマークの種類(菱形・円形)」「特定電気用品か否か」「取扱説明書に電気用品安全法への言及があるか」といった項目を追加し、見積書・仕様書・カタログ段階で確認する運用にすると、導入後に「実は対象だった」と判明して対応に追われる事態を減らせます。
第三に、院内教育の一環として、医師・看護師・臨床工学技士・薬剤師など医療従事者向けに、電気用品安全法 対象製品の基礎をコンパクトにまとめたハンドアウトやeラーニングコンテンツを用意し、「PSEマークを見て危険性の目安を直感的に理解する」習慣を広げることが有用です。これは他職種とのコミュニケーションにも役立ちます。
最後に、電気用品安全法 対象の確認結果を医療機器管理システムや設備台帳に項目として組み込み、定期点検・更新時に自動的にフィルタリングできるようにしておくと、「特定電気用品の検査期限」「対象拡大品目の更新タイミング」などを可視化でき、システム担当者のスキルを活かした安全管理が可能になります。こうした情報システムとの連携は、医療情報・設備情報を統合する次世代病院インフラの一つの方向性と言えるでしょう。
電気用品安全法(PSE)に基づく検査・認証や事業者向け情報が整理されているページで、院内での製品選定時に参照しやすい資料:
電気用品安全法(PSE)|一般財団法人電気安全環境研究所(JET)