
電気用品安全法は、電気用品による危険や障害の発生を防止するために、政令で定めた「電気用品」を対象として安全規制を行う法律です。
参考)https://www.pse-info.com/pse.html
対象となる電気用品は現在約457品目が指定されており、そのうち危険性が高いものが「特定電気用品」として116品目、残り341品目が「特定電気用品以外の電気用品」として区分されています。
参考)電気用品安全法令・解釈・規定等 - 電気用品安全法(METI…
電気用品の定義は、一般用電気工作物の一部として用いられる機械・器具・材料、携帯発電機、蓄電池であって政令で定めるもの、とされています。
一般家庭や医療機関、事務所などで商用電源(交流100V・200V)に接続される機器が中心であり、医療機器に付属する電源装置やACアダプタも、この定義の範囲に入り得る構造になっています。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/hani/kaiseigaiyou150122.pdf
特定電気用品に該当する場合、事業者は国への事業届出、技術基準適合確認、登録検査機関による適合性検査、PSEマーク表示など、より厳格な義務を負います。
一方、特定電気用品以外であっても、製造・輸入事業届、基準適合確認、自主検査、表示義務など、医療現場で日常的に使用されるACアダプタや電源装置に関係する要件が数多く存在します。
特定電気用品は、長時間無監視で使用されるもの、社会的弱者が使用するもの、人体に直接触れて使用されるものなど、事故時の影響が大きいと判断されたカテゴリーが中心です。
医療関連では、家庭用電気マッサージ器や家庭用温熱治療器など、患者が自ら操作し長時間使用する機器が特定電気用品に含まれ得るため、院内販売や外来での説明時にも安全規制の認識が重要になります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6925&dataType=1&pageNo=1dataType=1href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6925&dataType=1&pageNo=1">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6925&dataType=1&pageNo=1pageNo=1" target="_blank" rel="noopener">・電気用品取締法の一部改正に伴う医療用具の取扱いについて(◆…
医療機器は原則として医薬品医療機器等法(旧薬事法)の枠組みで安全性が評価されますが、電気的に作動する機器では電気用品安全法との二重の規制構造が存在してきました。
参考)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/seihin_anzen/pdf/002_03_00.pdf
特にACアダプタや直流電源装置など、医療機器本体とは別構成の電源部は、薬機法による医療機器としての審査に加え、電気用品安全法に基づく検査・表示が求められてきた歴史があります。
規制改革基本計画を踏まえ、医薬品医療機器等法で高度管理医療機器・管理医療機器として承認・認証される医用電気機器について、安全基準が電気用品安全法と同等以上である場合には、電気用品安全法の検査を簡素化・除外する方針が検討されました。
参考)「電気用品の範囲等の解釈について」の一部改正に関する解説 -…
この結果、医療機器に使用されるACアダプタ等のうち、薬機法に基づく安全基準や適合性確認の手続が電安法と同等以上であるものについて、電安法の規制対象から除外する政省令改正が行われています。
参考)【電安法】「電気用品の範囲等の解釈について」の一部改正が行わ…
一方で、一般医療機器に接続される汎用性の高いACアダプタなど、医療用途に限らず広く使用され得る電源装置は、引き続き電気用品安全法の対象として扱われるケースがあります。
参考)【医療機器】一般医療機器と電気用品安全法の関係③ - 株式会…
医療機関が市販の汎用ACアダプタを組み合わせて機器を使用する場合、医療機器としての承認だけでなく、電安法適合性とPSE表示の有無を確認しないと、事故時の責任範囲が不明確になるリスクがあります。
ここで重要なのは、「医療機器だから電安法とは無関係」とは言えない点であり、医療機器側の安全基準と電安法のどちらが優先されるか、品目ごとに解釈事例を確認する必要があることです。
参考)対象非対象解釈例一覧(種類別) - 電気用品安全法(METI…
経済産業省の解釈例一覧には、医療用送気・送風装置など、専ら医療機関における医療行為に使用される機器が電安法の非対象とされる一方で、理科実験用電源装置のように専門知識のない利用者が使う装置は対象とされるなど、用途と利用者属性が重要な判断軸となっていることが示されています。
電気用品安全法の対象か否かの判断が難しい機器については、「対象・非対象の解釈事例」が公開されており、電気用品別・種類別に運用解釈が整理されています。
参考)対象・非対象の解釈事例 - 電気用品安全法(METI/経済産…
医療機器関連では、医療用送気・送風装置が「専ら医療機関における医療行為に使用されること」から電安法の非対象とされる一方で、一般医療機器向けの汎用ACアダプタは引き続き電安法の対象となるなど、目的と使用状況に応じた細かな線引きが行われています。
医療現場の実務では、次のようなポイントが重要です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7269&dataType=1&pageNo=1dataType=1href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7269&dataType=1&pageNo=1">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7269&dataType=1&pageNo=1pageNo=1" target="_blank" rel="noopener">・電気用品取締法が適用される家庭用医療用具の取扱いについて(…
医療機関が自施設内で利用する機器を選定する際には、「電安法対象の家庭用医療機器を院内でどう取り扱うか」という視点も欠かせません。
例えば、家庭用磁気治療器や家庭用電位治療器などは、患者が持ち込む機器として院内に持ち込まれる場合もあり、コンセント接続の可否を決める際にPSE表示と製造業者情報の確認が安全管理上有用です。
また、医療機関が自施設名義で家庭向け機器を販売・レンタルする場合、電安法上の製造・輸入事業者としての義務(届出・検査・表示など)を負う可能性があるため、販売形態と責任範囲を事前に整理しておく必要があります。
患者向け説明資料では、「薬機法の承認・認証」と「電安法に基づくPSEマーク」のどちらがどういう意味を持つかを簡潔に記載することで、過剰な安心感や誤解を避けることができます。
規制改革実施計画とそれに基づく解釈通知の改正により、「高度管理医療機器又は管理医療機器として一体で用いるために設計・製作される直流電源装置」は、電気用品安全法の規制対象から除外されました。
これは、医薬品医療機器等法による医用電気機器の電気的安全基準(JIS T0601-1:2012等)が、電安法で要求される基準と同等以上の水準を確保していることを踏まえたものです。
意外なポイントとして、除外されるのは「医療機器として一体で用いるために設計・製作された直流電源装置」であり、汎用的に使用される直流電源装置は引き続き電安法の規制対象のままである点が挙げられます。
つまり、医療機器メーカーが医療機器専用として設計した直流電源装置は薬機法側で安全性が担保されるのに対し、市販の汎用ACアダプタを組み合わせて医療機器に接続する場合、そのACアダプタは電安法の技術基準や検査に依拠することになります。
医療機関の視点では、「医療機器とセットで購入する専用電源」と「院内在庫の汎用ACアダプタ」を混在させない運用が、リスク管理上重要です。
専用電源を紛失した際に、性能が近い汎用ACアダプタで代替するケースは現場では起こりがちですが、この代替が電安法上の対象外・対象の境界を曖昧にし、薬機法上承認された条件から外れる可能性があるため、文書化された手順書で明確に禁止・制限することが安全文化の醸成につながります。
さらに、ACアダプタの規制緩和は、医療機器メーカーの開発・認証プロセスを簡素化する一方で、院内購買担当者にとっては「どこまで電安法を意識すべきか」が見えにくくなる側面があります。
そのため、購買・臨床工学・医療安全の担当部署間で「専用電源の扱い」と「汎用電源の扱い」を明文化したポリシーを共有し、PSEマーク確認の要否や故障時の交換ルールを事前に合意しておくことが望ましいと言えます。
医療現場では、電気用品安全法の条文や解釈事例に直接触れる機会は少なく、「PSEマークが付いているかどうか」に意識が向きがちです。そこで、医療安全・臨床工学部門の視点から電安法をリスクマネジメントに組み込む独自の観点を整理します。
参考)https://www.e-ohtama.jp/emc-ohtama/emc/doc/denan-emc-guide.pdf
第一に、院内で使用される機器を「医療機器(薬機法)」「電気用品安全法対象の家庭用機器」「両法の対象となり得る機器」に分類し、それぞれについて点検・更新・廃棄のルールを分けて管理する方法があります。
例えば、家庭用超音波治療器や家庭用電位治療器など電安法対象の家庭用機器は、PSE表示と製造業者情報の確認を年次点検に組み込むことで、長期使用による劣化や表示の不備を早期に把握しやすくなります。
一方、医療機器に専用で付属するACアダプタ・直流電源装置は、薬機法上の添付文書やJIS T0601シリーズに基づく保守・試験計画に組み込むことにより、電安法上の検査省略後も安全性を継続的に評価する枠組みが維持できます。
第二に、電安法の「対象・非対象解釈事例」を、院内の新規導入機器レビューのチェックリストに組み込むことが有効です。
経産省サイトに掲載されている解釈事例のうち、医療用送気・送風装置や医療関連の電源装置に関する記述を事前に確認し、自施設で導入しようとしている機器がどのカテゴリに近いかを検討することで、メーカー説明だけに依存しない安全評価が可能になります。
第三に、医師・看護師向けの院内教育資料の中で、「電安法対象機器では利用者保護のために技術基準と表示義務が課されている」ことを簡潔に共有し、家庭用機器の院内使用や持ち込みへの慎重な姿勢を促すことが重要です。
これにより、患者側が持ち込んだ家庭用電気治療器を病棟で使用する際に、医療者がPSE表示・メーカー情報・使用環境の適合性を確認する習慣が生まれ、予期せぬ感電事故や火災リスクの低減につながります。
こうしたリスクマネジメントは、単に法令遵守にとどまらず、「電安法による技術基準」「薬機法による医療機器の安全基準」「院内独自の運用基準」の三層で安全を重ねるアプローチとも言えます。
現場の医療従事者が、電気用品安全法 対象かどうかの知識を断片的に持つだけでなく、自施設のポリシーと結びつけて運用できるようにすることが、AIやIoT機器が増えるこれからの医療環境では一層重要になるでしょう。
電気用品安全法の概要や対象品目の一覧、事業者の義務などを体系的に理解するには、経済産業省の公式情報と専門機関の解説を併せて参照するのが効率的です。
参考)電気用品安全法の概要 - 電気用品安全法(METI/経済産業…
ここでは、医療従事者や医療機関の技術担当者が、電安法の対象・非対象を確認する際に役立つ日本語情報源をいくつか紹介します。
経済産業省による電気用品安全法の概要ページでは、法の目的、対象品目の一覧、特定電気用品と特定以外の区分、事業者の義務などがコンパクトに整理されています。
対象・非対象の解釈事例ページでは、電気用品別・種類別の解釈例が掲載されており、医療機器や電源装置に近い事例を確認することで、自施設の機器が電安法の対象に該当するかどうかを検討する参考になります。
PSEインフォメーションセンターの解説ページでは、電気用品の定義、品目数、特定電気用品の考え方、事業者の義務などが具体的な説明とともに紹介されており、医療向け機器に限らない一般的な理解に役立ちます。
また、医療機器と電安法の関係を医療機器コンサルティングの視点から解説した記事では、一般医療機器のACアダプタが電安法の規制対象となるケースや、専ら医療機関で使用される機器が非対象とされる事例などが紹介されており、現場レベルでのコンプライアンス検討に具体的なヒントを与えてくれます。
最後に、電安法とEMCに関する技術的な解説資料では、電磁両立性の観点から電安法の要求事項を整理しており、院内で使用する医療機器・電源装置のノイズや電磁環境への影響を理解する上で参考になります。
こうした情報源を活用しつつ、医療従事者が電気用品安全法 対象に関する感度を高めていくことで、電気的な安全リスクを早期に察知し、患者やスタッフの安全を守る取り組みにつなげられるのではないでしょうか。
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