
売上原価とは、商品を販売した際に、その販売した商品そのものに直接かかった費用のことを指します。例えば、仕入れた商品をそのまま販売する小売業であれば、商品を仕入れた金額がそのまま売上原価になります。一方、製造業であれば、原材料を購入し、加工・製造するまでにかかった費用が売上原価となります。
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売上原価の基本的な計算式は以下の通りです。
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 − 期末商品棚卸高
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/cost-of-goods-sold/
この計算式における各用語の意味は以下の通りです。
参考)売上原価とは|業種別の考え方や仕訳方法、似た用語について解説
具体的な計算例を挙げてみましょう。
この場合、売上原価は以下のように計算されます。
売上原価 = 200万円(期首商品棚卸高)+ 300万円(当期商品仕入高)− 150万円(期末商品棚卸高)= 350万円
仮にこの企業の売上高が1,000万円だとすると、売上総利益(粗利)は1,000万円 − 350万円 = 650万円となります。この粗利が適切に計算できているかが、企業の経営状況を把握する上で極めて重要です。
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決算整理仕訳における売上原価の処理は、以下の2段階で行われます。
1段階目:期首商品棚卸高の振替
期首商品棚卸高は、前期から繰り越されてきた商品であり、当期には既に販売されてしまっている(または販売される予定の)商品です。そのため、期首商品棚卸高を「仕入」勘定に振り替えて費用として処理します。
仕訳例。
2段階目:期末商品棚卸高の振替
期末商品棚卸高は、当期に仕入れたものの、まだ販売されずに残っている商品です。これは次期に販売される資産であるため、「仕入」勘定から控除し、「商品」勘定(資産)として計上します。
仕訳例。
参考)決算整理仕訳:売上原価/内西会計事務所 - YouTube
この2つの仕訳を通じて、「仕入」勘定の残高が以下のようになります。
参考)第28回 売上原価(繰越商品を用いた決算整理仕訳)【日商簿記…
このように、決算整理仕訳によって「仕入」勘定が「売上原価」として損益計算書に反映される仕組みになっています。
売上原価は、損益計算書(PL)において「売上高」の直下に記載され、売上総利益(粗利)を算出する際の控除項目となります。損益計算書の一部を以下に示します。
参考)売上原価とは?製造原価との違いや計算方法、仕訳方法を解説 -…
損益計算書(一部)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 1,000万円 |
| 売上原価 | 350万円 |
| 売上総利益(粗利) | 650万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 400万円 |
| 営業利益 | 250万円 |
このように、売上原価が正しく計算されていないと、粗利や営業利益が歪んで表示され、経営判断を誤るリスクがあります。
また、売上原価を用いた重要な指標として「原価率」があります。原価率は、売上高に対する売上原価の割合を示し、以下の式で計算されます。
原価率 = 売上原価 ÷ 売上高 × 100(%)
参考)売上原価とは?損益計算書での計算方法・仕訳・製造原価との違い…
上記の例であれば、原価率 = 350万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 35%となります。
原価率が低いほど、粗利率が高く、効率的な経営ができていることを示唆します。逆に原価率が高い場合は、仕入れ価格の見直しや、販売価格の引き上げなどの対策を検討する必要があります。
売上原価と混同されがちな用語に「製造原価」があります。この2つは似ていますが、明確な違いがあります。
参考)売上原価と製造原価の違いとは?計算式や決算書での扱いをわかり…
売上原価:商品を販売した際に、その販売した商品に直接かかった費用。小売業や卸売業で主に用いられる概念。
製造原価:製品を製造するのにかかった費用。製造業で用いられる概念で、材料費・労務費・経費の3要素から構成される。
参考)売上原価とは?計算方法や製造原価との違いをやさしく解説
製造原価は、さらに以下の3つに分類されます。
参考)売上高と売上原価の違いとは?業種ごとの考え方と分析方法を解説…
製造業の場合、製造原価報告書という書類を作成し、製造原価の内訳を明示します。一方、売上原価は損益計算書に記載される点が異なります。
また、業種によって売上原価の考え方も異なります。
参考)売上原価とは?業種別の考え方や計算方法、仕訳パターンを解説
このように、業種によって売上原価の算出方法や勘定科目が異なるため、自社の業態に合わせた適切な処理を行う必要があります。
ここまでは、売上原価の基本的な計算方法や仕訳について解説してきましたが、実は「期末商品棚卸高」の評価方法によって、売上原価の金額が変わるという点に注意が必要です。これは、簿記の試験ではあまり深く触れられませんが、実務では極めて重要な視点です。
期末商品棚卸高を評価する方法には、主に以下の2つがあります。
例えば、以下のような仕入れがあった場合を考えます。
FIFOの場合:
期末在庫は「6月の150円×10個 + 5月の120円×5個」= 1,500 + 600 = 2,100円
LIFOの場合:
期末在庫は「4月の100円×10個 + 5月の120円×5個」= 1,000 + 600 = 1,600円
このように、評価方法によって期末商品棚卸高の金額が変わり、結果として売上原価も変動します。
日本では、原則としてFIFOまたは平均法(仕入れた商品の単価を平均して評価する方法)が採用されており、LIFOは税務上認められていません。しかし、物価が上昇している状況では、FIFOを採用すると期末在庫の評価額が高くなり、売上原価が低くなるため、利益が高く見えてしまうという現象が起きます。
逆に、物価が下落している状況では、FIFOを採用すると期末在庫の評価額が低くなり、売上原価が高くなるため、利益が低く見えてしまいます。
このように、在庫評価方法の選択は、売上原価を通じて企業の利益に直接影響を与えるため、経営者や経理担当者は注意深く選ぶ必要があります。
このように、売上原価の計算は単なる算数ではなく、在庫評価方法の選択や物価変動の影響を考慮した上で、適切な会計処理を行う必要があります。
国税庁の法人税ガイド:在庫資産の評価方法について、税務上の取扱いが詳しく記載されています。
売上原価の求め方と簿記3級での出題傾向を動画付きで解説。初学者にも分かりやすい内容です。
freeeの会計ガイド:売上原価の計算方法や勘定科目の扱いを、実務目線で解説しています。