
妊娠中の甲状腺機能亢進症では、母体と胎児の双方を守るために、甲状腺機能を正常域に保つことが最優先です。
参考)全国の甲状腺診療を専門とされる医師の皆様へ
妊娠初期や妊娠を強く希望する段階では、チアマゾールよりプロピルチオウラシルが選ばれることがあります。
参考)甲状腺の病気と妊娠・出産
プロピルチオウラシルは胎盤を通過し、胎児の甲状腺腫や甲状腺機能低下症を起こすことがあります。
参考)プロピルチオウラシル - Wikipedia
妊娠末期に内服している場合、出生後に一過性の新生児甲状腺機能低下がみられることがあります。
参考)妊娠中の甲状腺疾患 - 18. 婦人科および産科 - MSD…
ただし、未治療の甲状腺機能亢進症自体も流産、早産、胎児発育不全などのリスクを上げるため、薬を避けることが必ずしも安全ではありません。
参考)https://pharmacist.m3.com/column/ninpu_kinki/6190
胎児への影響は薬剤そのものだけでなく、母体のコントロール不良でも増えるため、投与中止の判断は慎重であるべきです。
プロピルチオウラシルでは、無顆粒球症、劇症肝炎、再生不良性貧血などの重篤な副作用が知られています。
参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530100_2432002F1054_3_01
特に肝障害は妊娠中でも見逃せず、妊婦にとっては母体リスクとして強く意識すべき点です。
妊娠中の抗甲状腺薬は「胎児への催奇形性」と「母体の重篤副作用」の両方を天秤にかける必要があり、単純に安全・危険で割り切れません。
発熱、咽頭痛、黄疸、倦怠感などの初期症状を患者教育に含めることが実践上重要です。
妊娠初期はプロピルチオウラシルを選び、妊娠中期以降はチアマゾールへ切り替える考え方が広く用いられています。
背景には、妊娠初期の器官形成期におけるチアマゾールの奇形リスク回避があります。
一方で、すべての症例で機械的に切り替えるのではなく、甲状腺機能、薬剤反応、副作用歴を見て判断することが大切です。
見落とされやすいのは、妊娠中の「薬の安全性」だけでなく、「甲状腺機能の変動が胎児評価を難しくする」点です。
妊婦への説明では、薬を飲む理由、飲まない場合のリスク、受診継続の必要性を短く明確に伝えることが有効です。
参考リンク:妊娠中の甲状腺疾患の管理とPTUの位置づけ
参考リンク:妊娠中の薬剤選択と胎児影響の整理
全国の甲状腺診療を専門とされる医師の皆様へ
参考リンク:添付文書ベースの副作用確認
日本薬局方 プロピルチオウラシル錠 チウラジール錠 50mg
【第3類医薬品】ハイチオールCプラス2 360錠