
金属管工事とは、電線を金属製の電線管(配管)の内部に収めて配線する電気工事の施工方法を指し、電線を機械的衝撃や熱、腐食などから保護することを主な目的としています。
参考)ー電気配管工事の「金属管工事」とは?特徴・施工場所について解…
電線をむき出しやケーブル単独で敷設する場合と比べて、金属管工事では配線ルートが明確になり、保守や改修時に系統を追いやすくなる点も重要なメリットです。
参考)金属管工事とは?その特徴、施設場所や種類などについて
また、金属管そのものがシールドとして働くため、ノイズに敏感な医療機器や情報系機器の近傍で、不要な電磁的影響を抑える配線方法としても活用されます。
テキスト
電気工事士試験などでは、金属管工事は「金属製電線管を用いた最も適用性の広い工事方法」と位置づけられており、屋内配線・屋外配線の双方で基本となる施工方法として扱われています。
金属管は建物の造営材にしっかりと固定され、その内部に絶縁電線を通すことで、偶発的な接触や落下物による損傷から配線を守る構造になっています。
医療施設のように人の出入りが多く、設備更新も頻繁な環境では、こうした保護効果によって、長期的な安全性と信頼性を確保しやすくなるという利点があります。
参考)金属管工事とは?種類や接地条件を徹底解説 - 専門職の転職メ…
金属管工事で使われる代表的な金属管は、ねじなし電線管、薄鋼電線管、厚鋼電線管の3種類で、それぞれ強度や施工性、コストが異なります。
ねじなし電線管は内面が滑らかで電線の通線性が良く、屋内配線や中・軽荷重の配管で広く用いられる一方、強度面では薄鋼・厚鋼に劣るため、重機が通る床下や屋外の厳しい環境では慎重な選定が必要です。
薄鋼電線管は、ねじなしに比べて機械的強度が高く、かつ厚鋼ほど施工負荷が大きくないため、一般的な事務所・病院・商業施設などでバランスの良い選択肢として採用されることが多いです。
参考)https://www.sekoukyujin-yumeshin.com/learn/22813/
テキスト
厚鋼電線管は重荷重や機械的衝撃が予想される場所、屋外の露出配管、工場・プラントのような過酷環境で用いられ、耐久性を最優先する配線ルートに適しています。
医療施設では、MRI室周辺の配線や、救急搬送エリアの床下配管のように、磁場や衝撃が想定される部分で厚鋼電線管を採用し、設備の長期安定稼働に寄与している事例があります。
管種を決める際には、電圧、環境条件(湿度・温度・腐食性ガスの有無)、保守性、将来の設備増設の可能性などを総合的に勘案し、医療機器ベンダーの推奨と建築設備設計の方針をすり合わせることが重要です。
金属管工事では、金属管自体が導電性を持つため、漏電時の安全確保の観点から接地工事が求められ、一般に300V以下の回路ではD種接地工事が必要とされています。
参考)金属管工事の施工方法
ただし、管の長さが4m以下の場合や、乾燥した場所で対地電圧150V以下かつ管長8m以下の場合には、例外的に接地工事を省略できる条件が定められています。
医療施設では、患者周辺の回路や生命維持装置関連の配線について、法律上の条件だけでなく、病院ごとの安全方針や医療安全委員会の判断に基づき、あえて接地を強化する運用も見られます。
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金属管工事で見落とされがちなポイントとして、「電磁的平衡」の考え方があり、1回路の行き線と帰り線を同じ管内に収めることで、互いの磁場が打ち消し合い、管に不要な誘導電流が流れないようにする設計が推奨されています。
交流電流では電流の向きが周期的に変化するため、行き線だけを管に通すと、金属管周囲に偏った磁界が生じ、誘導電流や局所的発熱につながるおそれがあり、医療現場では機器ノイズや誤作動の原因になり得ます。
特に心電図や脳波計など微弱信号を扱う装置の近くでは、配線ルートと回路構成を意識して電磁的平衡を確保することで、測定データのノイズやアーチファクトを低減できる可能性がある点は、臨床現場でも知っておきたい知識です。
医療施設における金属管工事は、一般の事務所や商業施設と比べて、安全性・信頼性への要求が高く、停電や配線トラブルが直接診療や生命維持に影響することを前提にした設計が必要です。
例えば、集中治療室や手術室では、電源系統が「通常系」「非常用系」「無停電電源系」に分かれており、それぞれの配線ルートを金属管工事で明確に区分することで、誤接続や誤切断を避ける運用が行われています。
医療ガス配管や給排水配管など、他の金属管工事と近接する場合には、電気配管がガス漏れや水漏れの影響を受けないルートを選び、かつメンテナンス時に混同しないよう色分けやラベリングを徹底することが推奨されます。
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感電リスクを低減するため、金属管工事による配線ルートは、患者が直接触れない位置や、手の届きにくい天井裏・壁内を通すことが基本ですが、診察室や処置室では医師・看護師が機器配線を扱う場面が多く、露出部分の保護やコンセント周りの絶縁強化が重要です。
また、MRI室のように強磁場を扱うエリアでは、金属管が磁場に影響を与えないように配線経路を工夫したり、場合によっては非磁性材料の管を選定するなど、機器メーカーの仕様に即した特別な配管計画が必要になります。
病院内の改修工事では、既存の金属管工事の系統把握が不十分なまま増設を進めると、思わぬ系統混在や接地系統の乱れを生じるため、事前に配線図を整理し、電気工事士と臨床工学技士が協働して機器側の要件を共有しておくことが望ましいです。
金属管工事では、管内の通線作業を容易にするために、曲げ回数や曲げ角度に制限が設けられており、通線距離が長い場合には途中に「引張ボックス」や「分岐ボックス」を設けて摩擦抵抗を下げることが実務上の工夫として行われています。
医療従事者の立場で見ると、電源トラブルが起きた際に、このボックス位置がトラブルシューティングの起点になることが多く、手術室・ICUなどの重要エリアでは、ボックス位置を平面図に明示しておくことで復旧時間を短縮できる可能性があります。
また、金属管工事は耐久性が高い一方で、配線ルートの変更や機器の増設が難しくなる側面があり、将来の機器更新計画を見据えて「予備配管」を通しておく設計が行われることがありますが、この予備配管が図面上で見落とされ、現場では存在自体が忘れられているケースも見られます。
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意外な点として、金属管工事の施工不良が直接医療事故につながるケースは多くないものの、「ハード面の安全性が担保されている」という前提で医療機器が選定・運用されているため、配線側の微小な不具合が機器のアラーム頻発や誤作動として現れることがあります。
そのため、医療従事者が新規設備導入やレイアウト変更の際に、電源系統や金属管工事のルートについて基本的な知識を持ち、疑わしい症状が出た場合には「機器本体だけでなく配線側も確認する」という視点を持つことが、現場の安全文化を高める一助になります。
電気配管工事の仕様や接地条件は、建築図面や電気設備図に記載されているため、院内の設備担当者や臨床工学技士と情報共有できる関係性を作っておくことで、診療部門からの「なぜこのコンセントだけ不安定なのか」といった疑問に、構造的な観点から答えやすくなります。
金属管工事は、電線の保護や電磁的影響の低減を通じて、医療機器が前提とする「安定した電源環境」を提供する基盤技術であり、医療安全の縁の下を支える存在と言えます。
特に、心電図・脳波・筋電図などの生体信号計測、透析装置や人工呼吸器などの生命維持装置、手術室の照明や麻酔器具など、電源品質が診療品質に直結する機器では、配線ルートや接地条件が安定しているかどうかが、トラブルの起きやすさに影響します。
医療従事者が金属管工事について基礎的な理解を持つことで、設備更新や工事計画の議論に参加しやすくなり、「この診療エリアでは電源系統をどう分けるべきか」「どの系統に重要機器を接続すべきか」といった安全上の意思決定に、現場目線の意見を反映しやすくなります。
テキスト
一方で、過度に細かな技術的詳細まで把握する必要はなく、「電線は金属管で保護され、接地によって漏電時の安全が確保されている」「電磁的平衡を意識した配線はノイズ低減に寄与する」といった要点を押さえておくだけでも、日常の観察やトラブル対応に役立ちます。
金属管工事の計画や施工は、電気工事士や設備設計者の専門領域ですが、医療現場から「特定エリアでノイズが多い」「特定コンセントが不安定」といったフィードバックを適切に伝えることで、配線ルートや接地条件の見直しにつながることがあります。
こうした双方向のコミュニケーションを通じて、電気配管工事の技術と医療安全の知見を橋渡しすることが、医療施設全体のレジリエンス向上に寄与すると期待されます。
医療施設における金属管工事の概要や接地条件は、電気設備の基礎知識を解説した以下のページが参考になります。第二種電気工事士試験対策として整理されていますが、原理理解にも役立ちます。
2.金属管工事の概要と接地工事・施工場所
金属管工事の施工方法や注意点、種類ごとの特徴については、電気工事士向けにまとめられた次の解説が、現場イメージをつかむうえで有用です。
金属管工事(第二種電気工事士学科試験対策)
医療施設を含む建物全般における金属管工事の目的や、配管システム全体の考え方を押さえたい場合には、以下の記事が参考になります。
電気配管工事の「金属管工事」とは?特徴・施工場所
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