簡易懸濁法のやり方と温湯55度での崩壊手順まとめ

簡易懸濁法の正しいやり方を手順ごとに解説。温湯の温度や放置時間、注意点まで網羅しました。あなたの現場の投薬手順は本当に安全でしょうか?

簡易懸濁法のやり方

あなたの粉砕、実はチューブを詰まらせます。


簡易懸濁法 3つの要点
🌡️
温湯は約55℃が基本

熱湯と水を2対1で混ぜると簡単に作れます。熱すぎても冷たすぎても崩壊しにくくなります。

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放置時間は約10分

この間に錠剤やカプセルが崩壊・懸濁します。時間を短縮すると崩壊不良につながります。

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粉砕・脱カプセルは不要

錠剤やカプセルはそのまま入れます。無理に崩そうとすると閉塞や飛散のリスクが高まります。


簡易懸濁法の基本的な手順とお湯の準備方法



簡易懸濁法は、錠剤やカプセルを粉砕せずそのまま温湯に入れて崩壊・懸濁させ、経管チューブから投与する方法です。まず1回分の薬剤をシリンジや専用容器にすべて入れます。次に約55℃の温湯を準備しますが、熱湯と水道水を2対1の割合で混ぜると簡単に作れます。


参考)https://yokohama.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2026/01/NST_Letter_No73_%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%8F%E7%9F%A5%E3%82%8D%E3%81%86%E7%B0%A1%E6%98%93%E6%87%B8%E6%BF%81%E6%B3%95.pdf


温度55℃は、はがき1枚分くらいの厚みの錠剤を確実に崩壊させるための研究に基づいた数値です。なぜこの温度なのでしょうか?日本薬局方ではカプセルは37℃前後で10分以内に溶けると規定されていますが、実務でこの温度を保つのは困難です。そこで10分放置しても37℃を下回らない最低ラインとして55℃が採用されています。


参考)https://www10.showa-u.ac.jp/~biopharm/kurata/kendaku/problem.html


つまり55℃は妥協ではなく計算された数字ということですね。


お湯の温度確認には、通常の料理用温度計や湯沸かしポットのミルク設定機能(60℃前後)が便利です。温度を毎回目視だけで判断すると誤差が出やすいので、専用容器の目盛りと合わせて管理するのがおすすめです。


簡易懸濁法の放置時間と崩壊確認のポイント

薬剤を温湯に入れたら、シリンジの先をふさいで10回程度振り混ぜます。その後は10分程度そのまま放置します。この10分間で薬剤の崩壊が進み、同時にお湯の温度も体温近くまで下がっていきます。


参考)https://www.kogyohsp.gr.jp/img/division/pharmacy/file02.pdf


10分は目安なので絶対ではありません。ただし短すぎると崩壊不良の原因になります。投与直前には再度振り混ぜて、大きな固まりが残っていないか確認する作業が欠かせません。この確認を怠ると、崩壊しきっていない薬剤がチューブ内で詰まる原因になります。


参考)簡易懸濁法(かんいけんだくほう)を実施されている患者さまへ|…


崩壊が不十分な薬剤があった場合は、無理に押し込まず、薬剤師に相談するのが安全です。判断に迷ったときは薬剤師への確認が原則です。



簡易懸濁法で粉砕やカプセル開封をしない理由

読者の中には「粉砕したほうが溶けやすく安全」と考えている方もいるかもしれません。しかし実際は逆で、粉砕やカプセル開封は原則不要です。粉末状にすると薬剤の一部が容器やシリンジに付着し、正確な投与量を確保できなくなるおよそのリスクがあります。


参考)簡易懸濁法とは?できない薬剤・粉砕との違い・メリットとデメリ…


さらに粉砕により薬剤の吸収性や安定性が変化してしまう薬もあります。錠剤やカプセルをそのまま温湯に入れる方が、成分の変質を抑えられるということですね。



粉砕作業自体が医療従事者の手や気道への薬剤粉末の飛散リスクにもつながります。抗がん剤のように取り扱いに注意が必要な薬剤では、専用の防護具を着用したうえで簡易懸濁法を用いる手順が定められています。この場合はシリンジのピストンを抜いて薬剤を入れ、55℃の温湯を吸い取ってから溶解させます。


参考)https://kure-kyosai.kkr.or.jp/assets/item/outpatient/medicalpersonnel/kanikendakuhou.pdf


簡易懸濁法ができない薬剤と代替対応

すべての薬剤が簡易懸濁法に対応しているわけではありません。徐放性製剤や腸溶性コーティングされた薬剤の一部は、温湯に入れても本来の放出設計が崩れてしまう場合があります。この場合は薬の効果が想定通りに出なかったり、逆に急激に成分が出てしまうデメリットにつながります。



対応可否は薬剤ごとに異なるため、事前に一覧表で確認する運用が現場では一般的です。あなたの施設にも簡易懸濁法対応表があるか、一度薬剤部に確認してみると安心です。


判断が難しい薬剤については、独自に判断せず必ず薬剤師と連携する流れを徹底することが大切です。これさえ守れば大きな事故は避けられます。


簡易懸濁法の投与後フラッシュとチューブ閉塞予防

薬剤投与が終わったら、チューブに少量の水を通して洗い流す「フラッシュ」という作業を行います。これはチューブ内に薬液が残ることで生じる閉塞を防ぐための工程です。フラッシュを忘れると、次回の栄養剤投与時にチューブが詰まり、再挿入や交換の手間が発生することがあります。


参考)https://nabari-city-hospital.jp/pdfwp/gaiyou/bumon/yakkyoku/for_patients.pdf


フラッシュに使う水の量は施設によって差がありますが、20から30ミリリットル程度が目安として案内されている例が見られます。量にすると小さいペットボトルのキャップ十数杯分ほどのイメージです。



投与前にも少量の湯でフラッシュしておくと、より閉塞予防の効果が高まるとされています。フラッシュは投与前後の両方が理想です。



チューブの閉塞が頻発する場合は、簡易懸濁ボトルの洗浄状態や薬剤の崩壊確認の徹底度を見直すと改善につながることがあります。日々の小さな確認作業が、結果的に患者さんの安全と業務効率の両方を守ることになります。



簡易懸濁法の手順やメリット・デメリット、粉砕との違いを薬剤師向けに詳しく解説した記事です。


55℃という温度設定の根拠や崩壊懸濁時間の考え方について、専門的な解説がまとまっています。


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