実は「偏差値が高い大学ほど国家試験合格率も高い」とは限りません。

河合塾が公表する「入試難易予想ランキング表」は、全統模試の結果を基に算出されています。2026年度入試向けのデータでは、慶應義塾大学薬学部薬学科が偏差値62.5でトップとなり、東京理科大学が60.0で続いています。
参考)【2026年最新版】私立大学薬学部 偏差値ランキングTOP4…
このデータは共通テスト得点率と2次試験の個別偏差値の両方をカバーしている点が特徴です。
参考)入試難易予想ランキング表
つまり河合塾のランキングは合格可能性50%のラインを示す指標ということですね。
北里大学、星薬科大学、明治薬科大学といった伝統校は偏差値57.5前後で、地方国公立薬学部と同等レベルに位置しています。一方で偏差値35.0~47.5程度の大学も存在し、選択肢の幅は非常に広いのが実情です。
医療従事者として薬学部の後輩を指導する立場になったとき、この偏差値の分布を知っておくと進路相談の説得力が増します。偏差値だけを見て「この大学は簡単」と判断するのは早計です。
国公立大学の薬学部は私立に比べて総じて偏差値が高く、九州大学薬学部は57.5~60.0という水準です。これは私立の中堅~難関校とほぼ同レベルということです。
国公立薬学部は入試科目数が多く、共通テストと二次試験の両方で高得点が求められます。一方の私立薬学部は3科目入試が主流で、入試科目の少なさが受験戦略に直結します。
国公立と私立を併願するケースも多く、慶應義塾や東京理科大学をチャレンジ校、北里や星薬科を本命校に据えるパターンが一般的です。学費総額で見ると国公立は6年間で350万円前後に対し、私立は900万~1400万円と大きな差があります。
学費の差はマンション一室の頭金に相当するほどの規模です。この負担を軽減するには、薬学部特有の奨学金制度や特待生制度を大学の公式サイトで確認するという行動が有効です。
偏差値ランキングだけを見て大学を選ぶと、留年率という重要な情報を見落とすことがあります。私立薬学部では1~2割の学生が留年するというデータも報告されています。
これは6年制の薬学科で特に顕著な傾向です。有機化学や薬理学など専門科目の難易度が高く、偏差値が高い大学でも留年者が一定数出ています。
留年すれば学費負担がさらに1年分増加します。偏差値50台の大学であっても国家試験合格率が90%を超えるケースがあるため、偏差値と留年率、合格率をセットで見る視点が欠かせません。
進路指導や就職相談を受ける医療従事者であれば、単純な偏差値比較だけでなく、大学ごとの国家試験合格率の推移を厚生労働省の公式データで確認することをおすすめします。
意外に思われるかもしれませんが、入職後の臨床現場での評価は出身大学の偏差値とほぼ相関しません。調剤薬局やドラッグストアの現場では、コミュニケーション能力や実務経験の蓄積が評価の中心になります。
薬剤師の平均年収は30代で500万~650万円程度とされ、これは出身大学の偏差値よりも勤務先の業態や地域によって変動します。病院薬剤師、調剤薬局、製薬企業でそれぞれ年収レンジが異なるのが実情です。
つまり入職後の評価は偏差値と別軸ということです。
医療従事者として後輩薬剤師や薬学生と接する機会がある方は、偏差値情報を伝える際に「臨床現場では別の評価軸がある」という点も併せて伝えると、より実態に近いアドバイスになります。志望校選びの相談を受けた際は、大学の公式シラバスや在校生の口コミサイトで実習内容を確認するという一手間も勧めてみましょう。
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