
労働基準法上の労働時間は、単に働いた分だけではなく、使用者の指揮命令下に置かれていた時間を指します。
そのため、待機中に作業をしていなくても、自由に休める状態でなければ労働時間と評価されることがあります。
逆に、呼び出しに応じる義務があっても、自由利用が十分に保障されていれば、直ちに労働時間とは限りません。
参考)オンコール待機時間と労働時間 医療法人社団 誠聲会事件(令和…
医療従事者の待機時間では、オンコールの実態が重要です。
厚労省資料では、呼び出し頻度、病院への到着義務の厳しさ、待機中の活動制限を総合して判断すると整理されています。
千葉地裁令和5年2月22日判決では、院外オンコールの待機時間全体について労働時間性が否定されましたが、実際の出勤時間や電話対応時間は労働時間とされています。
参考)緊急電話対応の待機時間の労働時間制について(千葉地裁令和5年…
裁判例は、待機場所が事務所かどうかだけで機械的に決めず、行動の自由の制約を細かく見ます。
参考)https://hk-plazalaw.com/column/hanrei025
たとえば、急な呼び出しに備えて遠くへ行けない、飲酒や外出に実質的な制限がある、睡眠が断続的になるといった事情は重要です。
一方で、呼び出しが少なく、自由時間としての実感が強い場合は、労働時間性が否定されやすくなります。
参考)医師のオンコール待機時間の労働時間性(消極) - 弁護士 師…
待機時間が労働時間と認定されると、未払残業代、付加金、割増賃金の対象になる可能性があります。
手当が支払われていても、それが労働時間性を自動的に否定するわけではありません。
医療機関では、宿日直許可の有無も重要で、許可のある宿日直と、オンコール待機は法的整理が異なります。
見落とされやすいのは、待機そのものより、待機後の勤務まで含めた制度設計です。
たとえば、翌日も通常勤務が前提なのに呼び出し回数が多い場合、名目上は待機でも実質は拘束が強い運用になりやすいです。
また、連絡手段が常時監視型か、応答期限が極端に短いか、代替要員がいるかによっても評価は変わります。