
乳酸塩は、乳酸イオンを含む塩の総称で、lactateとも呼ばれます。乳酸そのものは酸性を示す分子であり、塩になるとナトリウム、カルシウムなどの形で存在します。
参考)乳酸 - Wikipedia
医療現場では「乳酸」と「乳酸塩」が混同されやすいですが、検査で扱うのは多くの場合ラクテートです。用語を分けて理解すると、酸塩基平衡や輸液の説明が整理しやすくなります。
参考)ラクテートLactate(乳酸)|血液ガス用語集|ラジオメー…
乳酸塩という言葉は化学だけでなく、食品、化粧品、医薬品でも使われます。たとえば乳酸ナトリウムや乳酸カルシウムは用途が異なり、成分名から機能を読み取る力が必要です。
乳酸は主に解糖系で生じ、酸素供給が十分でも一定量は常に産生されます。したがって、乳酸上昇を直ちに「低酸素だけ」と決めつけるのは適切ではありません。
参考)Comprehensive review on lactat…
産生後の乳酸は、肝臓と腎臓で再利用・代謝されます。クリアランスが落ちると上昇しやすく、肝障害や腎障害がある患者では背景評価が重要になります。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0420.html
意外な点として、乳酸は「疲労物質」だけではなく、代謝の中継点として働きます。現代の研究では、乳酸が単なる副産物ではなく、生体内で意味を持つ分子だと見直されています。
乳酸アシドーシスは、血中乳酸の上昇に伴って著しい代謝性アシドーシスをきたす病態です。ショック、重症呼吸器疾患、DIC、肝不全、薬剤性などが原因になります。
参考)https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/dfwgvb7oc
血液ガスとあわせて、乳酸値、pH、乳酸/ピルビン酸比、陰イオンギャップを総合して判断することが大切です。乳酸だけを単独で見ても、重症度の全体像はつかみにくいからです。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000143736.pdf
ビグアナイド薬、特にメトホルミンでは、まれに乳酸アシドーシスが問題になります。リスクを上げるのは腎機能障害、脱水、低酸素血症、重度肝障害、過度の飲酒などです。
実務では、発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良などのシックデイ対応が重要です。患者に「一時中止して相談する」行動を具体的に伝えることが、重症化予防につながります。
造影検査の前後や、急性疾患で状態が変化した場面では、薬剤継続の妥当性を再確認する必要があります。乳酸値そのものだけでなく、背景にある腎機能と循環動態の把握が欠かせません。
乳酸は長く「代謝の終着点」と見なされてきましたが、現在は重要なシグナル分子として扱われています。生理的な状態でも継続的に形成され、細胞間の情報伝達に関わる可能性があります。
この視点は、運動生理だけでなく、糖代謝異常、がん、ミトコンドリア機能障害の理解にもつながります。乳酸を「悪者」としてだけ捉えないことが、最新の知見に沿った解釈です。
参考になる日本語資料として、乳酸アシドーシスの定義や原因を確認したい場合は以下が有用です。
日本救急医学会の乳酸アシドーシス解説
ビグアナイド薬と乳酸アシドーシスの注意点を整理するなら、次の資料が実務向きです。
ビグアナイド薬と乳酸アシドーシス
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