ケタラールは麻薬だから使い方が厳しすぎると思っていませんか?実は「残液をそのまま廃棄すると麻薬取締法違反になり、懲役リスクがあります」。

ケタラール(一般名:ケタミン塩酸塩)は、長年にわたって手術・処置時の全身麻酔薬として医療現場で活躍してきた薬剤です。 特に小児の軽微な処置では、筋注するだけで安全に鎮静が得られる「使いやすい麻酔薬」として多くの現場医師に愛用されていました。
参考)n/n80c400f3bd29">https://note.com/yabdoc_1953/n/n80c400f3bd29
それが変わったのは平成18年3月23日のことです。
厚生労働省は「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」の一部改正により、ケタミンを麻薬に指定し、平成19年(2007年)1月1日から施行しました。 背景には、香港でヘロインに次ぐ第2の濫用薬物となっていたこと、韓国では動物用ケタミンが加工・濫用されていたこと、そして中国から日本への密輸直前の摘発事例があったことがあります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb3871&dataType=1&pageNo=1dataType=1href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb3871&dataType=1&pageNo=1">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb3871&dataType=1&pageNo=1pageNo=1" target="_blank" rel="noopener">・麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する…
つまり、国内ではなく国際的な乱用状況が指定の引き金でした。
厚生労働省|ケタミンの麻薬指定政令(改正内容・施行日の詳細)
医療従事者にとって重要なのは、この指定によって「これまでの取り扱いがそのまま通用しなくなった」という点です。麻薬指定前は向精神薬としての管理で済んでいたものが、モルヒネや塩酸ペチジンと同等の厳格な管理義務へと変わりました。 現場での意識と法律のギャップが、うっかりミスにつながりやすい部分です。
参考)http://cms.db.tokushima-u.ac.jp/DAV/organization/10998/anex-HP/anex/scaw/scaw-ketamin.html
麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)において、ケタミンは第2条第1号の「麻薬」に分類されます。 これは、日常的に使われるモルヒネやフェンタニルと同じカテゴリです。
参考)https://jvma-vet.jp/mag/05910/06_4b.htm
法的リスクは具体的です。
無許可でのケタミン所持は「7年以下の懲役」、不正な施用・譲渡には「1年以上10年以下の懲役および300万円の罰金」が科される可能性があります。 医療現場で「少量だから」「緊急だったから」という理由は一切免罪符にはなりません。
参考)警告(薬物違反) 警視庁
| 違反行為 | 罰則 |
|---|---|
| 無許可所持 | 7年以下の懲役 |
| 不正譲渡・不正施用 | 1年以上10年以下の懲役+300万円以下の罰金 |
| 密輸入 | 最大で無期懲役 |
免許を持たずにケタラールを投与してしまうケースは、特に救急や処置室の現場で起きやすいリスクです。「以前は使えていた」という感覚が残っている医師世代は特に注意が条件です。
麻薬施用者免許を持つ医師がケタラールを施用する場合、使用前から廃棄まで一連の記録と手続きが必要です。 具体的には以下の流れが基本です。
参考)https://yokohamasakae.kkr.or.jp/item/tekiougai8.pdf
廃棄する場合が原則です。
残液を「ちょっとだから水で流してしまった」という行為は、正規の廃棄手続きを経ない限り法令違反となります。 正式な廃棄には麻薬管理者の立会いのもとで行う必要があり、「自分で処分した」は通りません。
兵庫県|ケタミンの取扱い質疑応答PDF(残液廃棄の手順など実務詳細)
これは使えそうですね。特に夜間・救急など少人数で対応している現場では、「誰に返せばいい?」と迷う場面があります。事前に院内マニュアルで麻薬管理者への返却フローを確認しておくことが、リスク回避への最短の行動です。
ケタラールは「解離性麻酔薬」に分類されます。 NMDA受容体を拮抗することで鎮痛・鎮静効果を発揮しますが、他の全身麻酔薬と大きく異なる点があります。
参考)「ケタラール」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio…
それが呼吸抑制をしない、という特性です。
MSDマニュアルにも「ケタミンは呼吸を抑制したり上気道の緊張または防御反射を減弱させたりする作用はないため、誤嚥リスクがある患者では第1選択となる可能性がある」と記載されています。 これは、プロポフォールやベンゾジアゼピン系薬とは根本的に異なる安全プロファイルです。
一方で注意点もあります。
つまり特性を理解した使用が原則です。ケタラールの薬理的優位性は「気道を守ったまま鎮痛・鎮静を得られる」点にあり、救急・外傷処置での活用には根拠があります。
日本麻酔科学会|麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン第3版(ケタミンの適応・用量・禁忌の詳細)
麻薬管理の実務で最もトラブルになりやすいのは「帳簿の記録ミス」と「残液処理の手順違反」です。 年に1回の都道府県への使用報告で数量が合わなければ、立入検査や行政指導の対象になります。
参考)https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf18/documents/000159428.pdf
これは厳しいところですね。
特に注意が必要なのは、ケタラール(注射剤)の「バイアルの一部使用後の残液」の扱いです。一度開封して一部を使用したバイアルの残液は、そのまま保管することも、廃棄することも、それぞれに定められた手続きが異なります。 麻薬管理者の指示に従い、施用残として専用帳簿に記録したうえで返却するのが原則です。
帳簿記載の抜けが1件でも問題になりえます。
院内でケタラールを扱う頻度が高い診療科(救急・麻酔科・小児科)では、定期的な院内勉強会で麻薬管理手順の確認をすることが、行政リスクを回避するための最も現実的な対策です。
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