ブリィビアクトの薬価が2026年8月に引き下げられることを、あなたはもう患者への説明コストに織り込んでいますか?

ブリィビアクト(一般名:ブリーバラセタム)は、2024年6月24日に承認され、同年8月15日に薬価収載されました。 販売開始は2024年8月30日で、部分発作を適応とする抗てんかん薬としては国内で約8年ぶりの新薬となります。
薬価は類似薬効比較方式にもとづいて算定されています。 これは既存の抗てんかん薬を比較対照として価格を設定する方法です。つまり、画期性がどれほど高くても、既存薬の価格水準に縛られる算定方式です。
参考)https://c2h.niph.go.jp/results/C2H2405/C2H2405_Summary.pdf
| 規格 | 収載時薬価(2024年8月) | 改定後薬価(2026年8月〜) |
|---|---|---|
| 錠25mg(1錠) | 373.30円 | 357.30円 |
| 錠50mg(1錠) | 609.30円 | 583.20円 |
| 静注25mg(1瓶) | 2,450.00円 | 未改定(2026年8月以降も継続確認要) |
これが基本です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001699514.pdf
ブリィビアクトは費用対効果評価のH1区分(市場規模100億円以上)に指定されました。 これは市場への影響が大きい品目に適用される厳しい評価区分です。厳しいところですね。
費用対効果評価では、ICER(増分費用効果比)が1QALY(質調整生存年)あたり約4,816万円という結果が示されています。 これは国際的な判断基準の500〜600万円/QALYをはるかに超える数字で、東京ドームの建設費約538億円と同程度の規模感を1QALYに当てはめているイメージです。
つまり費用対効果が低いと評価されたということです。この評価結果にもとづき、中央社会保険医療協議会(中医協)は2025年5月13日に薬価引き下げを承認し、2026年8月1日から改定薬価が適用されます。 医療機関在庫への影響を考慮した猶予期間が設けられている点は、現場への配慮です。これは使えそうです。
処方選択の場面で費用比較は重要です。ここで注目すべき事実があります。
レベチラセタム(イーケプラ)は後発品が多数流通しており、先発品500mg錠でも後発品であれば1錠数十円台の薬価に抑えられているケースがあります。一方、ブリィビアクトは新薬のため後発品が存在せず、25mg錠で357.30円(改定後)です。
患者負担(3割)に換算すると、標準用量で1日約429円、月額では約1万3,000円となります。負担感は患者ごとに異なります。費用対効果の観点では、ブリィビアクトの優位性が「有用性加算」として薬価に十分反映されているとは言いにくい状況です。
薬価情報の最新確認は、しろぼんねっとなどの医療従事者向けサイトが便利です。
ブリィビアクト錠50mg 薬価・添付文書情報(しろぼんねっと)
静注製剤は見落とされやすい存在です。
ブリィビアクト静注25mg(2.5mL1瓶)は2025年4月17日に発売され、薬価は2,450.00円です。 これは錠剤の25mg錠373.30円と比較すると、約6.6倍の薬価です。手のひらに乗る小さなバイアル1本が2,450円、という感覚です。
参考)https://www.yakuji.co.jp/entry117580.html
適応は「一時的に経口投与ができない場合のブリーバラセタム経口製剤の代替療法」です。 具体的には以下の場面が想定されます。
参考)ブリィビアクト静注25mgの基本情報・添付文書情報 - デー…
静注製剤の高薬価は、製剤コストや無菌製造のコストが反映されているためです。経口摂取が回復次第、速やかに経口製剤へ戻すことが薬剤費管理の観点でも合理的です。これが原則です。
静注製剤の添付文書情報はCareNet.comで確認できます。
ブリィビアクト静注25mg 効能・薬価情報(CareNet.com)
費用対効果評価は「平均的な患者」を前提にしています。これが意外な落とし穴になります。
ブリィビアクトのICER算出では、「単剤療法による治療を受ける患者」の分析が困難として「分析不能」の結論が出ています。 実際のICER4,816万円/QALYという数字は「併用療法」の患者を対象にした試算です。
つまり、単剤で治療している患者への費用対効果は算定されていない、ということです。意外ですね。
医療現場では、ブリィビアクトが「薬剤費は高いが忍容性が高く漸増不要」という特性から、薬剤管理コスト(投与量調整の手間・副作用対応)を含めたトータルコストで評価する視点が重要です。薬価の数字だけで判断しない、という姿勢が求められます。
費用対効果評価の詳細報告書は厚生労働省の資料で確認できます。