
自動車教習所では、AT車・MT車を問わず「ブレーキペダルは右足で踏む」と徹底して指導されます。これは単なる慣習ではなく、運転教本に明記されている公式なルールです。
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実際のところ、日本の道路交通法において「ブレーキペダルの操作を特定の足(右足)に限定する条文」は存在しません。しかし、国内の主要自動車メーカーの取扱説明書には、次のような趣旨の記載が明確にされています。
「ブレーキペダルは右足で操作してください。左足でのブレーキ操作は緊急時の反応が遅れるなど、思わぬ事故につながるおそれがあり危険です」
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このように、法的な縛りはないものの、自動車メーカーが公式に「右足操作」を推奨し、教習所がその指導を行っているというのが現状です。運転姿勢の基本として、ブレーキペダルを踏む際も「運転姿勢がなるべく崩れない方の足」で踏むべきであり、それが右足であるという結論になります。
ペダルの位置関係は、以下の通り標準化されています。
参考)Brakes

この配置は、世界中のほぼすべての車両で共通しています。ブレーキペダルは、ステアリングの中心点付近またはやや右側に位置しており、運転姿勢を崩さずにペダルを踏むためにも、右足で操作するのが合理的です。
参考)Why is the accelerator pedal a…
MT車では3つのペダルがあり、左足でクラッチ、右足でアクセルとブレーキを操作します。AT車では2ペダルですが、やはり右足でアクセルとブレーキを操作するのが基本です。左足は運転姿勢を安定させるためにフットレストに置くことが推奨されています。
参考)アクセルブレーキの位置と覚え方は?右がアクセル、中央がブレー…
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、2022年の1年間に3050件発生し、48人が死亡、4289人がけがをしています。特に高齢ドライバーによる事故が注目されており、死亡重傷事故では60歳以上が7割を超えています。
参考)https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/kotsu_joho/korei.files/202304.pdf
交通事故総合分析センターの分析によると、高齢者の踏み間違い事故には以下の要因が複合的に関与しています。
特に注目すべきは、「上半身を右にひねる姿勢」の問題です。バック時に後ろを確認するため身体を右にひねると、太ももが大きく開き、右足の先がアクセルペダル側に近づく傾向があります。この状態でブレーキを踏んだつもりが、実はアクセルを踏んでいたという事例が報告されています。
参考)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240216/k10014361401000.html
年齢別の踏み間違い事故比率を見ると、70歳以上は他の年齢層の約2.5倍から約4倍と極端に高くなっています。75歳以上による死亡事故は、75歳未満と比べて13倍も高いというデータもあります。
参考)高齢者に多いブレーキの踏み間違い事故データを調査〜原因と対策…
一部のドライバーやレーシングドライバーの間では「左足ブレーキ」を推奨する意見も存在します。その主な理由は以下の通りです。
参考)【これで決着!ブレーキは右足か左足か】 意外な最善策は「両足…
しかし、一般道での運転においては、これらのメリットは安全性よりも優先されるべきではありません。医療的・生理学的な視点から見ると、次のような問題が指摘できます。
人間の脳は、左右の足を異なる役割で同時に操作する際、認知負荷が増大します。特に緊急時やパニック状態では、この認知負荷が誤操作を招くリスクを高めます。また、長年の運転習慣で「右足=ブレーキ」という神経回路が形成されている高齢者ほど、左足ブレーキへの切り替えは困難です。
さらに、右足でアクセルとブレーキを操作することで、「ブレーキ時には必ずアクセルから足を離す」というフェイルセーフ的な操作が実現します。これは、加速しながらブレーキを踏むという無意味な行為を防ぐ効果もあります。
安全な運転のためには、正しい運転姿勢とペダル操作の基本を徹底することが重要です。以下に具体的なポイントをまとめます。
さらに、踏み間違い防止のための実践的なコツとして、以下の方法が推奨されています。
参考)ブレーキは右足?それとも左足? ~オートマ車の上手な乗り方~…
警視庁交通部:高齢運転者による交通事故防止の取組み(PDF)
JA共済:アクセルとブレーキの「踏み間違い」の危険性(動画解説)
医療従事者(医師、看護師、理学療法士、 occupational therapistなど)が、高齢患者やリハビリテーション中の患者に対して運転指導を行う際、ブレーキペダルの操作に関する正確な知識は不可欠です。
特に、脳卒中後遺症やパーキンソン病、関節疾患などを持つ患者の場合、右足の運動機能に制限があるケースも少なくありません。そのような患者に対して「左足ブレーキ」を安易に推奨することは、医療的・法律的なリスクを伴います。
医療現場では、患者のQOL(生活の質)を維持するために「運転継続」を希望するケースも多々あります。しかし、安全を最優先し、客観的なデータに基づいた指導を行うことが、医療従事者の責務です。
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